GomameのTubuyaki Vol.133

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白い鳥と黒い鳥

白い鳥と黒い鳥1

 

 毎年のことながら、阿賀野市の瓢湖に白鳥が飛来!のニュースは、新潟県民にとっては秋の深まりと共に、遠くない降雪の時期と長い冬の到来を予感させますね。
 今年は10月4日の明け方に到着した4羽が第一陣だったそうです。
 ところで、野鳥の中では愛される鳥、嫌われる鳥の差が大きいと思われませんか。
 特に市街地で身近な鳥であるスズメ、カラスは好悪がはっきり別れるようです。

黒い鳥はなぜ嫌われる?

 黒い鳥の代表格、カラス。
 賢さと子育て中の凶暴さで恐れられ、生ごみをあさるなどの迷惑行為でも嫌われます。
 黒色から不吉を連想されるのも気の毒ですが、国によっては太陽神の使いとされ、聖なる鳥扱いのところもあるそうです。
 カラスへの褒め言葉としては「鴉の濡れ羽色」でしょうか。
 「カラスの羽のような深い黒に、紫や青の光沢を帯びた艶のある髪」は日本女性の髪の美しさを例えています。
 黒っぽい鳥のムクドリも群れる習性や糞公害が問題になっているのはご承知の通り。
 あの騒がしい声とボロを纏ったような姿は、ツバメのおしゃれ感とは程遠く、トビの悠々と飛翔する姿や鳴き声と比べても、ムクドリが嫌われるのがわかります。

白い鳥と黒い鳥2

白い鳥を愛するDNA

 古今東西、「白鳥」は霊鳥として崇められてきました。
 翼を広げればゆうに2mを超す純白の鳥は、季節とともに遠くからやって来る神秘的な美しい鳥。
 西洋の民話や童話に登場し、アンデルセンの「白鳥の王子」、バレエの「白鳥の湖」の主人公です。
 両方とも白鳥への変身と人に戻る話が共通していますね。
 白鳥は聖なる鳥であり、復活の象徴なのかもしれません。
 日本でも古事記や日本書紀に白い鳥の記事があります。
 日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の途中に亡くなった時、魂は白鳥に姿を変えて大和を目指して飛び、やがて大空の彼方へ消えて行きます。
 全国にある白鳥神社は、日本武尊伝説を今に残しているそうです。
 同じく記紀にある、戦いの中で母を失った聾の皇子が白鳥を見て初めて言葉を発した物語など、魂との係りを暗示し、どことなく哀愁を感じさせます。

 ―白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふー

 この白鳥はカモメでしょうか。若山牧水の青春の孤独と孤絶を詠った有名な短歌ですね。

鳥が象徴するもの

 絶滅の危機には存続に途方もない努力を費やされるトキやコウノトリ。
 もし全身黒色だったら?姿・形には関係なく同じかもしれませんね。
 鳥はそのままいるだけなのに、人の役に立つか邪魔をするかで存在の意味が違ってきます。
 自然界の中で、人間は傲慢なのかもしれません。
 鳥を含む野生動物との係り方全般に言えるのではないでしょうか。

この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2017年10・11月号No.133 に収録した内容です。

o-goshi

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