長岡市上岩井の縄文クルミ
旧三島郡三島町上岩井の県道に沿って流れる黒川のほとり、「上岩井石井町」のバス停の脇に立つ一本のクルミの木。
小河川近くに生えるクルミなどどこにでもみられる風景ですが、このクルミの木は、実は長岡市天然記念物「根立(ねだち)遺跡のクルミの木」なのです。
昭和47 年黒川の改修工事の際、川底から縄文後期の生活跡が発見され、土器片とともにトチの実の皮やクルミの実が出土しました。
クルミの実15 個を蒔いたところ、何と13 個が芽吹き、その中の1 本がこの木なのだそうです。
木としての年齢は43 年でも、生命としては3700 年も生き続けてきたのですね。
運良く食べられもせず、川底の泥炭層に埋もれたまま悠久の時を過ごした後、陽の光の下に出てきた稀有の幸運の木でもあります。
樹勢も強く、実をたわわに付けていました。
5mくらい離れた場所には、向かいの家の持ち物という大きなクルミの木が立っています。
縄文の木と、実の味などは違うのでしょうか。
近くには越後三十三観音の第十八番礼所として知られる根立寺(こんりゅうじ)があります。
鬱蒼とした木に囲まれ、苔むした石段を登ってゆくと正面に姿の良い観音堂が現れます。
約150 年前、土地の大工により建てられたというお堂の見どころは、濡縁の袖と桁上の躍動的で精緻な彫刻。
堂内にも入れるそうですので、お参りには蚊の大群に襲われない季節が良いかもしれません。
霊場らしい雰囲気を持つ、眼病平癒祈願のお寺です。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2016年10月号No.125 に収録した内容です。