三条市下田 国道289号線沿いのブナの森
10月の半ば過ぎ、工事中の「国道289号八十里越事業体感バス」に乗ってきました。
新潟県三条市下田と福島県只見を結ぶこの道路建設工事は、積雪のための工事期間の短かさや、深い山中と険しい急峻の難工事の連続で、なんと昭和61年(1986年)着工以来、完成はいつになるか不明という息の長い事業です。
工事車両用に整備された国道289号線は落石などの危険のため一般の車は通行できません。
一般人が唯一足を踏み入れられるのは、県や国土省が後援する観光マイクロバスのみとのことです。
このあたりはブナの木が多く、すでに葉が黄葉していました。
ブナは白い木の肌が美しく、「森の女王」の異名の通り森全体が明るく感じられます。
木材としてはあまり価値が無く、昔は薪炭の原料や建材のほか、地元の製紙会社へパルプ用として盛んに切り出されたそうです。
原生林のままであれば、ブナの自然林で有名な秋田・青森の白神山地に匹敵するようなブナの大森林として観光地になったかもしれないとの地元のガイドさんの言葉でした。
ブナの実は山の動物たちの食糧ともなり、この山地にはクマのほかニホンザルも多く生息しているそうです。
8月に訪れた時には、道路沿いにサルの親子数匹が姿を見せてくれました。
新国道完成までにはまだ年数が掛かりそうですが、完成すれば旧道となり、廃道になるか処遇はまだ決まっていないとのことでした。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2018年12月号No.141 に収録した内容です。