長岡の冬、「断熱等級」だけで選ぶと後悔するかも?本当に暖かい家の「C値」と「UA値」の正解

家づくりのお役立ち情報

 週末、ポストに入っている住宅会社のチラシ。
 どれを見ても「高気密・高断熱」「夏涼しく、冬暖かい」って書いてありませんか?

「どこの会社も同じことを言っているし、今の新築ならどこで建てても暖かいんでしょ?」

 もしそう思っているなら、ちょっと待ってください。
 実は、同じ「高気密高断熱」という言葉でも、会社によってその「中身」は全く違うんです。

 長岡の冬は、とても特徴的です。
 雪は湿っていて重く、気温が氷点下になる事も度々あります。雪と一緒にビュービューと吹きつける冷たい風・・・。
 そんな環境で、なんとなくのイメージだけで選んでしまうと、「新築なのに足元がスースーする……」「暖房費がアパート時代より高くなった」なんて後悔に繋がりかねません。

 今回は、長岡で家を建てるなら絶対に知っておいてほしい、「本当に暖かい家を見極める2つの数字」についてお話しします。
 難しい数式は出てきませんので、安心してくださいね。


チラシの「高断熱」を信じてはいけない理由。

 チラシの「高断熱」を信じてはいけない理由。
 実は日本では、「どれくらい暖かければ『高断熱』と名乗っていいか」という明確な決まりがないんです。

 極端な話、少しだけ断熱材を厚くしただけでも「高断熱住宅」と言えてしまいます。
 だからこそ、言葉の雰囲気ではなく、客観的な「モノサシ(数値)」で判断することが大切です。

 そこで覚えてほしいのが、「UA値(ユーエーち)」「C値(シーち)」という2つの数字です。


1. 家の「ダウンジャケット」の厚み=UA値(ユーエーち)

 まず1つ目は「UA値」。これは断熱性能の数値で「家の熱がどれくらい外に逃げやすいか」を表す数字です。
 数字が小さければ小さいほど、「熱が逃げづらい家」になります。

これを「冬の服装」に例えてみましょう。

  • 昔の家(無断熱): Tシャツ1枚
  • 今の普通の省エネ基準: 薄手のウインドブレーカー
  • 私たちが推奨する基準: 真冬用の分厚いダウンジャケット

 長岡の冬を「ウインドブレーカー」で乗り越えるのは辛いですよね。
 では、具体的にどのくらいの数値を目指せば「分厚いダウンジャケット」になるのでしょうか?

長岡の冬に必要な数値は「0.40」

 国が定めている基準と、本当に快適に暮らせる基準を比べてみましょう。

基準のレベルUA値(断熱性能)暮らしのイメージ
国の省エネ基準
(断熱等級4)
0.87以下× まだ寒い
リビング以外は寒く、暖房費もかかる。
ZEH(ゼッチ)基準
(断熱等級5)
0.60以下△ まあまあ
長岡の厳冬期だと、窓際は冷気を感じるかも。
推奨レベル
(断熱等級6)
0.40以下◎ ずっと快適!
エアコン1台でOK。


 長岡市で建てるなら、私たちは「UA値 0.40以下」を強くおすすめします。
 これなら、真冬の朝に布団から出るのも辛くありませんし、光熱費もぐっと抑えられます。

サーモカメラで見ると熱の移動が分かります
UA値が良い家は、壁や床の表面温度が下がらず、体感温度が高くなる

2. 実は一番大事な「C値」。隙間だらけの家は寒い!

 さて、ここからが今日一番大切なポイントです。
 どんなに分厚い最高級のダウンジャケット(良いUA値)を着ていても、「前のファスナーが全開」だったらどうでしょうか?

 ……寒いですよね。風がビュービュー入ってきてしまいます。

 住宅も同じです。
 壁や窓の隙間から、冷たい外気が入り、暖めた空気が逃げていく。
 この「家の隙間の大きさ」を表すのが「C値(シーち)」です。

「C値」は、現場の職人の腕で決まる。

 C値も、数字が小さいほど優秀(隙間が少ない)です。
 しかし困ったことに、このC値には国の基準がありません。

 C値は計算で出せるものではなく、「実際に家を建てた現場で測定しないと分からない」ものです。大工さんがどれだけ丁寧に気密処理をしたか、その技術力がそのまま数字に出る「通信簿」のようなものなのです。

【長岡で失敗しないC値の目安】

  • 一般的な住宅: C値 2.0〜5.0(ハガキ1.5〜3枚分の隙間)
  • 高気密住宅の目安: C値 1.0以下
  • 私たちが約束する基準: C値 0.3以下(ハガキ1/3以下の隙間!)

 C値が悪い(隙間が多い)と、単に寒いだけでなく、室内の暖かい空気が壁の中に入り冷やされる事によって起こる「内部結露」の原因になり、木材や断熱材を傷めてしまうリスクもあります。
 雪が多く湿度の高い長岡だからこそ、気密性能(C値)は妥協してはいけないポイントなのです。

新築住宅の建設現場で行われている気密測定(C値測定)の様子
専用の機械を使って、家全体の隙間の大きさを測ります。図面上ではなく、実際の現場で測って初めてC値が分かります。

営業マンにこれを聞けば失敗しない。「魔法の質問」

 「UA値」と「C値」。
 この2つが揃って初めて、長岡の冬に負けない「本当に暖かい家」になります。

 住宅会社選びで迷ったら、担当の営業マンにこう質問してみてください。

「御社の平均的なC値はいくつですか? また、全棟で気密測定を行っていますか?」

この質問に対して、
「ええと、測っていないので分かりません……」
「今の家は測らなくても気密はいいですよ」
と言葉を濁すようなら、少し注意が必要かもしれません。

 断熱・気密性能をしっかりと考えている会社なら、「全棟測定しています。平均0.5以下をお約束しますよ!」と即答してくれるはずです。


まとめ:数値は「家族の笑顔」を守るためにある。

 少し理屈っぽいお話になってしまいましたが、いかがでしたか?

 私たちがなぜ、こんなに数値にこだわるのか。
 それは、「数値の良い家を自慢したいから」ではありません。

  • お風呂上がりに子供が湯冷めしないように。
  • 夜中の授乳でママが寒い思いをしなくて済むように。
  • 光熱費を気にせず、家族みんながリビングで暖かく過ごせるように。

 その「当たり前の幸せ」を30年、50年先まで守るための裏付けが、UA値でありC値なのです。

 私たちオーゴシ建設は、長岡の気候を知り尽くしたプロとして、「UA値0.40以下」「C値0.3以下」を基準に家づくりをしています。

「じゃあ、そんな性能の良い家は、どんな間取りができるの?」
「実際の住み心地はどうなの?」

 そんな疑問を持たれた方は、ぜひ次の記事も読んでみてくださいね。
 「暖かい家」だからこそ実現できる、広々とした暮らしのヒントをご紹介しています。

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この記事を書いたのは...

阿部 憲介

オーゴシ建設代表の阿部です。 一級建築士、1級建築施工管理技士 新卒で入社したゼネコン時代には、住宅の基礎工事に不可欠な鉄筋コンクリート工事の知識を身につけました。 以降、工務店の代表として木造住宅を専門にに仕事をしています。

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