お正月の遊び 「百人一首」の世界
『ちはやふる』という少女漫画があります。
和歌の百人一首が書かれた札を取り合う競技があり、その最高位 (クイーン)を巡って登場人物たちの熱い青春が描かれています。
アニメや映画化もされて好評だったようですね。
かるたの百人一首は、明治時代の昔から定番の正月の遊びでした。
小倉百人一首とは
13世紀の前半ころ当時高名な歌人、藤原定家(ふじわらのていか)が、小倉の山荘で歌人百人の和歌を一首ずつ選んだ秀歌集。
万葉集や古今集、新古今集などの天皇の命令により作られた和歌集から選ばれ、天智天皇から順徳院まで年代が古い順から番号が振られました。
後世の室町時代に、和歌を勉強する時の入門編として知られるようになり、時代が下がって江戸時代に木版画が発達すると、絵入りのかるたとして庶民にも広がって、愛好されるようになったそうです。
古典落語の「千早振る」はいつの頃の作かわかりませんが、登場人物であるご隠居が、百人一首の『千早ぶる神代も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは』を、長屋の八五郎に珍妙な解釈をしてみせます。
そのくらいに庶民に浸透しており、笑いになるほど親しまれていたということでしょうか。
多士済々な歌人たち
作者百人のうち、皇族・公卿・下級貴族・僧侶などの男性が79人、女性は皇族・公卿の妻・そして身分の高い人に仕える現在のキャリアウーマンとでも言うべき女房が21人です。
源氏物語の作者紫式部、枕草子の清少納言も女房ですね。
美人の代名詞、○○小町の本家本元である小野小町、美男で元祖チャラ男の在原業平、漂泊の歌人西行、歌聖柿本人麻呂などは今でもよく知られている歌人です。
一方、猿丸大夫や蝉丸の素性はほとんど分かっていません。
かつて哲学者の梅原猛氏が、猿丸大夫は柿本人麻呂が罪を得て名乗らせられた名前だとした説を発表したことがありました。
百人一首の遊び方
札の読み手一人、取り手は決まりの人数はありません。
読み上げられた歌の、下の句14文字の取り札を多く取った方が勝ちのシンプルなルールです。
小中学生のころ、学習の一環として親しんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
意味がわからないままの丸暗記は、記憶力を鍛えるのにも役立ったのかもしれません。
読み札を使っての坊主めくりも、遊び方の一つです。
これなら字をまだ読めない小さな子どもさんでも楽しめるかもしれません。
トランプのゲームの百人一首版ですね。
今年のお正月はコロナ禍もあり、室内で過ごすことが多くなりそうです。
伝統的な遊びも、お子様たちといかがでしょうか。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2020年冬号No.150 に収録した内容です。