ついに特殊詐欺電話に遭遇した話
それは一月、雪の降りしきる夕方5時過ぎのことでありました。
呼び出し音で電話に出ると、冒頭から激しい咳き込みと苦しげなせき払いが続きます。
「○○だけど、高熱が出て声がおかしくなって」と長男の名前を名乗る若い男の声が。(とても怪しい)。
再び咳き込みが続きますので「アンタ、誰?」疑惑に満ちた冷たい言い方だったと思います。
「○○だよ」と再び長男を名乗る男。
そこで痛恨の一言「出勤する時、熱なんかあったっけ?」を発したとたん、電話を切られたのでした。
時間にしておそらく60秒あるか無し。
ただそれだけのことでありますが。
許せない!肉親への情を悪用する犯罪の卑劣さ
何百万、何千万円の華々しい被害ではなく、しょぼい未遂の話でスミマセン。
彼らの致命的な失敗は、同居の家族の名前を名乗ったことでした。
いくら何でも騙されませんよね。
常日ごろ詐欺電話がきたら騙されたふりをして警察に、と思っていましたが、いざとなるとうまくいかないもの。
もしそのまま電話を続けたらどんな展開になったかと、とても残念です。
長男の名前や電話番号は、学校関係の名簿が出回っていることが想像されますが、引っかかる人はさぞ情愛深い、子供思いの親御さんなのでしょう。
こんな詐欺犯は捕まるべきです。
年々増えるオレオレ詐欺の被害
「特殊詐欺」とは、振り込め詐欺に加え、未公開株など金融商品の取引名目の詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺、異性との交際あっせん名目の詐欺、それ以外の特殊詐欺の8類型の総称だそうです。
警視庁が発表した昨年の全体の被害状況は18,201件、被害額は390.3億円で、3年連続で減少したものの、振り込め詐欺に含まれる「オレオレ詐欺」は、7年連続で増加記録更新という結果でした。
しかも被害者の9割以上が65歳以上の高齢者ということで、引き続き警察は高齢者への被害防止を強化する取組を実施するそうです。
繰り返し被害が報道されるのに後を絶たないのは、自分は騙されるほど愚かではないという自信があるからかもしれません。
でも実際には見破れず、被害者が増加しています。
振り込め詐欺は進化する
去年11月に新潟県内で起きた事件では、有料サイトの未納料金を払えとの偽メールにより、コンビニ収納代行を利用して約20万円のアマゾンギフト券を購入させられていたというもの。
ギフト券は本人には渡らず、転売されていましたが、被害者は警察から連絡が来るまで気が付かなかったそうです。
真面目だったり優しかったり、性格の良い人たちが被害者になることに、不条理とやるせなさを思います。
犯人たちの創造力と開発力から次々に考え出される斬新な手口。
その力が正しく使われたならば、普通に成功者になり得たかもしれません。
それが大方の人々の感慨でしょうか。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2018年2・3月号No.136 に収録した内容です。