「花」を食する 身近なエディブルフラワー
花は見るもの、愛でるもの。
食べるなんて信じられない!と思う人たちがいても不思議ではありません。
でも、我が新潟県人はもとより、食用菊を愛する地域では「食べる花・菊」は野菜として認識されています。
今年も、ほのかな菊の香りが床しい食用菊「おもいのほか」の赤紫の花びらが秋の深まりを告げ、本格的な冬の到来と共に静かに去っていきました。
エディブルフラワー
Edible(食用)flower(花)と横文字を使うとオシャレですね。
西洋ではハーブとして花を食べることは昔からありましたが、観賞用の「花」を料理の材料にする概念は1980年代にアメリカから始まり、短期間のうちに今では欧米を中心に世界中に広まる新しい食文化になりました。
美しい花はどんなふうに調理されるのでしょうか。
ほとんどは加熱されず、それぞれの花の持つ味覚の特長を生かしたサラダか、もっぱらスイーツが多いようです。
美しい色彩を閉じ込めたゼリーや、華やかなデコレーションの飾りの花も一緒に食べるケーキ、生地に花を練り込んで焼くクッキーもあります。
花びらを紅茶やハーブティに入れるのも定番のようです。
食べられない花と、食べられる花
売られている切り花は農薬や成長剤などの化学農薬を使って栽培するので、残念ながら食べられません。
食用の花は厳しい基準をクリアしたものだけが出荷されます。
エディブルフラワーの生産農家の方にお聞きしたところ、自農園で種から苗を起こして、農薬類を一切使わずに栽培するのだそうです。
また、毒性のある植物の水仙、すずらん、アネモネ、オダマキ、ききょう、エンゼルトランペット、コルチカムなど、普通によく見る花の中にも中毒を起こす食べられない花があります。
最近は長岡のスーパーでも、季節の頃にはパック入りのエディブルフラワーが売られています。
パンジー、金魚草、カモミール、撫子、ナスタチウム、マリーゴールド。お馴染みの花が多いですね。
栄養価も高いそうです。
マリーゴールドは天ぷらで出すレストランがあるとのことで、農家の方から試しに少量いただきましたが、なぜか食べる勇気が出ず、水盤に浮かべました。
残念でしたが、果たしてどんな味なのでしょうか。
身近なエディブルフラワー
ブロッコリーやカリフラワーも「食べる花」ですね。
桜の花は昔から塩漬けにして桜湯としてお祝いごとには欠かせませんでしたし、フキノトウ、カタクリは山菜の花。
黄色や薄紫の食用菊は山形県では江戸時代から食べられていたエディブルフラワーです。
刺身に付く黄色の小菊は、本来飾りだけではなく、食中毒予防の効用を狙ったものだそうです。
日本の花食も伝統があり、奥が深いですね。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2017年12月号No.134 に収録した内容です。