DNAから知る日本人への旅 私たちはどこから来たか
日本人の顔立ちは、ほとんど同じ民族とされながら、バラエティに富んでいると言われます。
実際にそうなのかは、他の国と比較検証しないとわかりませんが、南北に3,000㎞もある日本列島、地域の差があっても不思議ではありませんね。
都会の大きな駅で、行き交う人々を見ていると、他人様の容姿を批評するのではありませんが、多様性を実感します。
遥かな地からたどり着いた旅人の末裔
日本列島の15,000年前から2,300年前を縄文時代と呼び、その後に水田耕作を特徴とする弥生時代が始まりました。
縄文の人々が独自に弥生の文化に進化したのではなく、弥生の生活様式を持った人々が渡来したというのが現在の定説です。
日本列島に人が住み始めたのは、4~2万年前。
幾つかのルートで列島に着いたと考えられ、縄文人の祖先になりました。
近年の研究では、縄文人は狩猟採集を主に、航海術に長け、交易をするグループもあった多彩な人々だったようです。
DNAの研究 日本人のルーツ
このごろ話題になるDNAとは何でしょうか。
難しくてよく理解できませんが、超簡単に言えば「すべての生物にあり、もとの細胞と全く同じ遺伝情報を子孫に伝える働きをする物質」のことだそうです。
この研究を人類学に応用し、人類はアフリカにいた一人の女性の子孫であるという学説が話題になりました。
近年発表された日本人のDNA研究によると、アフリカを出た人類は6万年前にイラン付近で三つのルートに別れますが、東に向かった者のうち、早くに分岐したグループがアジア東北部から北海道に渡り、南下して縄文人の祖先の本体になりました。
その後大陸沿岸部から4,000年~3,000年前にやってきた人々がおり、紀元前1,000年ころに朝鮮半島や大陸から渡って来た人々によって弥生時代が始まりました。
先住の縄文人はどうなったのでしょうか。
男性にしか伝わらないY染色体を調べると、縄文人の痕跡を濃く残すと考えられているアイヌや琉球人に次いで、縄文人特有のDNAを持つ人がなんと現在の日本人に30%も見られることがわかったのです。
原住民の彼らは、平和に弥生人や南洋の島々、東南アジアからの人々と共存し、混血して現在の日本人を形造っていったと考えられるそうです。
多様なDNAを持つ日本人
現代日本人は東アジアに住む人々と共通のDNAを持ちますが、縄文人の祖先のDNAも受け継いでいます。
おおらかで進取の気性に富み、外来の文化を器用に採りこんで発展させる柔軟さは、誇りにしても良いかもしれませんね。
純粋の縄文人、弥生人は存在せず、双方の混血は未だ継続中と言われます。
加えて今後、移民政策が実施された時、百年後の社会はどんな変容を遂げているでしょうか。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2017年3月号No.129 に収録した内容です。