GomameのTubuyaki Vol.122

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新潟県の伝統工芸品 足立茂久商店の「曲げわっぱ」

新潟県の伝統工芸品 足立茂久商店の「曲げわっぱ」

 

 

 長岡市寺泊に、新潟県内でただ一人「曲げわっぱ」を作る職人さんがおられます。
 創業1830年の老舗「足立茂久商店」の11代目、足立照久さんです。
 寺泊山田は、昔は北国街道だった国道402号線に沿って、瓦屋根に板張りの民家が続く、どこか懐かしい佇まいの集落。
 前方に海、背後は崖の厳しい風土の中、山田にはかつて大きな産業がありました。
 薄く剥いだ杉や檜の板を円形に曲げて作る篩(ふるい)は農作業に無くてはならぬもの。
 農業が機械化されるまで、山田のふるいは地区の人たちにより、東北や関東へ盛んに売られていたそうです。

「電子レンジで使えるわっぱ」を手に入れた!

 先代が考案された「電子レンジで使えるわっぱ」は、平成3年科学技術庁長官賞を受賞したロングラン商品。
 急激な加熱に強い和歌山産ヒノキを本体部分に、蓋と食卓用の台はツガ、サクラの皮、竹と材料は自然素材のみで、すべて手作りです。
 価格は一人用の小さなもので税込6000円弱。
 早速、冷凍のしゅうまいをチンしてみました。
 しっとりと柔らかく今までとは一味違います。
 修理可能で長く使え、作り手の手間と材料からすれば、相応以上の価値と思います。

古いものと新しいものと。時代のニーズに合わせる

新潟県の伝統工芸品 足立茂久商店の「曲げわっぱ」2

 ただ一軒だけ残ったのは、元々調理師や和菓子職人が顧客に多かったこと。
 足立さんの篩や裏ごし器でなければというプロの職人から注文や修理の依頼があり、また、期待に応えるだけの技術を代々継承してきたからのようです。
 当代は新潟大学の地質鉱物学科を卒業後、家業に就かれました。
 8年前、父である先代が亡くなり、以来一人で仕事に取り組んでおられます。
 伝統のものだけではなく、次々と新しい製品の開発やプロジェクトが持ち込まれ、ご本人が「ウチは篩屋なんだけどねえ」とぼやかれるほど。
 伺った際も次々の来客、加えてネットで知ったという遠くからの電話での依頼。
 「手は2本しかない」と言いながら、何とか沿いたいという職人魂をお持ちの11代目は、爽やか好男子。
 突然伺った者にも親切自然体で応対のお母様、赤ちゃんを抱いた奥様とのひと時は、短時間でも心地良いものでした。

新潟県の伝統工芸品 足立茂久商店の「曲げわっぱ」3

山田の漁師の家

 足立商店さんから連れて行っていただいた漁師さんの家は、住まいの下が船の収納庫になっている集落独特のもの。
 「船揚場」と呼ぶそうで、海に向かって開いている傾斜の奥は住宅の地下部分。
 職業と密接にかかわった造りですが、冬は吹き付ける潮風でたいへん寒いそうです。

この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2016年6月号No.122 に収録した内容です。

o-goshi

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