長岡市六日市町の稲架木(はさき)
越後平野の風物詩だったハザ木のある風景も、今はあまり見ることが少なくなりました。
ハサ木、またはハザ木とは、横一列に並んだ立木に細い丸太か竹を何段かに渡し、刈り取った稲束を壁を作るように掛けるための木です。
ハサ木掛けは稲を乾燥させるための重要な作業でした。
農作業の機械化と共に不要になり、耕地整理が進むにつれ姿を消してきているようです。
このハサ木も、もう使われることも無いと思われますが、邪魔にならないという理由で残っているのかもしれません。
ハサ木はあまり高木にはせず枝を先端だけ残して棒杭のような樹形にします。
一列に並ぶハサ木の姿は独特に見えますね。
このハサ木は、かつて黄金色の稲の重みを負い、西からの強風に耐えてきたのか、まっすぐでなく曲がって立っています。
老残の姿なのか、老後の余性をのんびりと楽しんでいるのか、どちらでしょうね。
ハサ木に使われる樹種には山地には杉、平地はトネリコやタモ、ハンノキが多いそうです。
この木はハンノキではないかと思われますが、湿地や沼地に自生するように水に耐性があり、枝の強い剪定にも負けない性質は、田の畔のハサ木にうってつけだったのでしょう。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2019年8・9・10月号No.145 に収録した内容です。