三島郡出雲崎町大寺 大慶寺の大榧(カヤ)
杉や欅と違いカヤは、長岡近辺ではあまり知られている木ではないと思われます。
カヤの木はどのような樹種なのでしょうか。
イチイ科の常緑針葉樹で暖地を好み、大平洋側では福島県が北限。
新潟県では出雲崎の対岸、佐渡島の赤泊地区がカヤ材の産地として有名だそうです。
長岡市の内陸部では見かけないはずですね。
成長が遅く樹齢が長いので、お寺や神社の境内に植えられ、世に知られる巨木や名木になることがあるようです。
そのカヤの巨木のある大慶寺はJR越後線妙法寺駅に近い、大寺の村の中にあります。
本堂に向かい、右側に立つ緑の大樹がカヤの木です。
樹齢400年、樹高15m、周囲3m、枝張り最大4.6m。
地面から3.6mあたりから13本の支幹を伸ばし、樹冠を形成するという特異な姿をしています。
樹皮は荒く、いかにも古木の風情ですが、根元にはひこばえが密生し、手入れが行き届いているのでしょうか、枯れ枝なども見えず、まだまだ樹勢が盛んのようです。
カヤはイチョウと同じく雌雄異株ですが、この木は雌株のようで、地面にはたくさんの落果と、小枝には緑色の若い実を付けていました。
花から結実するまでに一年半かかるというカヤの実は滋養豊富で、昔は大事な食糧でした。
このお寺の実も、昔は大切に食べられたのでしょう。
北原白秋作詞・山田耕筰作曲「かやの木山の」を御存じの方もいらっしゃるでしょうか。
山里の囲炉裏で爆ぜるカヤの実の雰囲気がよく伝わる唱歌です。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2018年2・3月号No.136 に収録した内容です。