南魚沼市雷土新田(いかづちしんでん) 浄源塚の大杉
上越新幹線浦佐駅から国道17号線を県道573号線へ入り、関越自動車道を遠望する一帯は、西瓜の産地として有名な八色原の広大な田園風景が延々と続きます。
一面の水田の中、遠くからでも目を引く緑の一画が、南魚沼市指定文化財「浄源塚」。
高さ2mの塚の傍らに立つ巨木は樹齢300年以上の老杉で、幹廻り5.9m~6.2m、樹高25m。
二つに別れた幹と枝から二本の杉が合体したようにも見えます。
この杉は往時は道標として、また休憩の木陰となる、人々に親しまれた大切な木だったそうです。
塚の下手にコンクリートブロックに囲まれた手押しポンプがありました。
塚の名の由来になった浄源という僧が掘ったという伝説の井戸です。
『浄源という旅僧の意思で生き埋めにして井戸を掘ったため、どんな日照りにもかれたことがない』と、正面に立つ南魚沼市の説明板にありました。
塚と井戸については、人柱になったその上に塚を作り、杉を植えてほしいとの浄源さんの遺言通りにした伝承、生き埋めではなく、遺灰を埋めたという説、その他、村境いの争いを戒めるため、検地の竿を埋めて塚にしたとの、いろいろな言い伝えがあるそうです。
八色原は、越後三山に源を発し、魚野川に合流する水無川の扇状地。
水の不便さから、昔は水田などの農業に適さない土地でした。
深い伏流水を掘り当てたと思われる、日照りでも枯れない井戸と杉の伝説は、往来の旅人や農民の喉の渇きを癒す井戸水の大切さと感謝を伝えているのではないでしょうか。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2017年8・9月号No.132 に収録した内容です。