長岡に住む私たちにとって、忘れられない記憶があります。
2004年の中越地震、そして毎年訪れる降雪時期。
「家族の命を守るために、地震に強い家を建てたい」
そう願うのは、この土地で暮らす親として当然の想いですよね。
住宅会社に行くと、「ウチは耐震等級3(最高等級)ですから安心ですよ!」と説明されることが多いと思います。
それを聞いて、「ああ、最高等級なら大丈夫だ」とホッと胸をなでおろしていませんか?
……ちょっと待ってください。
その「安心」には、大きな落とし穴があるかもしれないんです。
今回は、雪国・長岡で家を建てるなら絶対に知っておきたい、「雪と地震の関係」についてお話しします。
大切な家族を守るために、少しだけ難しい「家の骨組み」の話にお付き合いください。
ちょっとだけ法律の話を
まず、大前提として木造の建物は『建築基準法』を守る必要があります(建築基準法施工令第3章3節に書かれている、いわゆる仕様規定)。
よく耳にする耐震等級は『品確法』という法律で決められていて、等級1から3があり等級3が最も丈夫です。
『建築基準法』と『品確法』は別々の法律というのが1つポイントです。
建築基準法は最低限度の基準を定めているので、これを守って建てると品確法の耐震等級1相当(厳密には違いますが)になります。
等級1の場合は簡単な計算をすれば設計する事ができます。
等級2や3の場合は等級1よりも検討する項目が増えて計算も多くなりますし、雪の重さを考慮するのはここからです。
盲点! その計算、「雪が乗った状態」でしていますか?
想像してみてください。
屋根の上に雪が1メートル積もっています。
長岡の雪は水分を多く含んでいるので重く、屋根全体で「乗用車5台分以上」載っているのと同じくらいの重さがのしかかっていることも珍しくありません。
もし、その状態で大地震が来たら?
長岡は多雪地域に指定されているので、雪の重さを考慮して計算します。基準通りにするとなんと積雪2.5m!これを雪下ろしをする前提で1mまで低減する事ができます。
地震の力は、重いものほど大きな力がかかります。屋根に雪を載せたまま、激しく揺さぶられるのをイメージすると……怖いですよね。
だからこそ、長岡の家づくりでは「積雪荷重(せきせつかじゅう)」をしっかり計算に入れた設計が必要です。
オーゴシ建設は積雪1.5~2mを見込んで耐震等級3となるように設計しています。

「耐震等級3」は当たり前。大事なのは「設計の方針」。
さきほど、耐震等級2や3を取得するためには、等級1よりも計算が増えるとお話ししました。
その計算方法にも2通りあって、1つは『仕様が決まっている簡便な方法』、もう1つは『構造計算(許容応力度計算)』です。
許容応力度計算の方がより細かく計算をします。
『仕様が決まっている簡便な計算方法』は気合いを入れてエクセルを使えばなんとか計算できます。実際、数年前までは私も気合で計算していました。
でも、許容応力度計算になると検討する項目が多すぎてムリ!なので、構造計算ソフトを使う事になります。
この構造計算ソフトは優秀で、間取りを入力すれば勝手に計算してくれます。
が、それが本当に正しいのかは、設計者がしっかりと検討する必要があります。
【営業マンに聞いてみよう】
「御社の耐震性能はどうやって計算していますか?」
※ここで即答できなかったり、「2階建てなら構造計算はいりませんよ(=雪の重さを考慮していない)」と言う会社は、長岡の雪のリスクを軽視しているかもしれません。
ちなみに、許容応力度計算をすると柱や梁などの部材1本1本にかかる荷重が分かります。
今までは経験則から、「この梁の長さならこれくらいの梁の大きさでいいだろう」と決めていた部材が、実際はそんなに力がかかっていなくて、梁の大きさを小さくしてコストを削減できたなんて事もあります。
ただし、計算上の限界ギリギリの設計で建てると思わぬ不具合につながる場合もあります。どこまで許容するかの線引きも、設計者の判断となります。
自由設計の罠。「直下率(ちょっかりつ)」って知ってる?
「せっかくの注文住宅だから、広いリビングにしたい!」
「窓をたくさんつけて明るくしたい!」
その夢、もちろん叶えたいです。
でも、デザインを優先しすぎて、家の強さを犠牲にしてはいけません。
ここで出てくるキーワードが「直下率(ちょっかりつ)」です。
簡単に言うと、「2階の柱や壁の下に、ちゃんと1階の柱や壁があるか?」という割合のことです。
積み木をイメージしてください。
下の積み木と上の積み木がズレて積まれていたら、グラグラして崩れやすいですよね。家も同じで、柱や壁の位置が上下で揃っているほど、地震の揺れをスムーズに地面に伝えることができます。
「できません」と言う勇気。
無理な間取りで直下率が低くても、構造計算ソフトを使うと等級3に適合する計算をしてくれます。
でも、無理な間取りで直下率が低い家は、どんなに計算上の数値が良くても、実際の地震では弱点となり、倒壊のリスクが高まります。
だから私たちは、お客様が「どうしてもここに大きな窓を開けたい!」とおっしゃっても、構造計算の結果、家が弱くなると判断したら、
「申し訳ありません、それはできません」
と正直にお伝えします。
それは、意地悪で言っているわけではありません。
何十年先まで、ご家族の命を守り抜く責任が私たちにはあるからです。

地震の後も、住めるように。
「家が倒壊しなければいい(命が助かればいい)」
建築基準法で定められた国の基準は、あくまで「大きな地震で倒壊しないこと」を最低ラインにしています。
でも、実際はどうでしょうか。
地震の後も、生活は続きます。
もし家が傾いて住めなくなったら?
地震の後も、避難所ではなく「自宅でいつものように暮らせる」こと。
それこそが、私たちが目指す「耐震」のゴールです。
見えないけれど大事な部分にお金をかける。
構造(骨組み)は、家が完成すると壁の中に隠れてしまい、全く見えなくなります。
キッチンや壁紙のように、見て楽しむことはできません。
でも、見えない部分こそが、いざという時に家族の命を支えてくれます。
予算配分を考えるとき、設備のグレードを少し下げてでも、この「構造計算」の費用だけは絶対に削らないでください。
それは、未来の子どもたちへの大事な「安全のプレゼント」なのですから。
私たちオーゴシ建設は、長岡の雪と地震に負けない「骨太な家」をつくり続けています。
「もっと詳しく構造の話を聞きたい」「工事中の現場を見てみたい」という方は、ぜひ構造見学会へお越しください。
隠してしまうのがもったいないくらい、美しい木の骨組みをお見せします。
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