阿部(憲)です。
越後杉について思う事があったので書きたいと思います。
わたしが、率直に思った事を書くので、間違っていたり思い込みの部分があるかと思いますが、
誰かを批判したり中傷するつもりはまったくありません。
そんな考えもあるんだなと思って、興味があったら読んでください。
当社の構造材のほとんどには越後杉を使用していました。
わたしが入社前の事なので、推測も入っていますが、おそらく
現顧問が『やっぱり新潟で家を建てるのなら新潟の材木を使って建てたいわ。決めたの!』
という考え(というか思いつき)から始まったと思われます。
その出発点がいいのか悪いのかはさておき、当たり前に越後杉を使う会社になっていました。
関川村に越後杉の伐採の様子を見に行った事もあります。
バスでこんな細い山道を入って行って。
『こんな細い道入っていけるの~』ってバスの中騒然でした。
辺り一面越後杉です。
この時に若い杉の木は頭がとんがっているという事を初めて知りました。
切りたてほやほやの杉材に触れたりなんかして。
杉材ってノウハウが無いと人工乾燥させるのが難しいそうです。
越後杉ブランドの最初の頃は、製材所さんがかなり苦労されたと聞きました。
そのノウハウの蓄積があって、今では品質的に他産地に引けをとらないと思っています!
それでも欠点もあります。色合いが黒ずんでいたり、越後杉に限らず杉材を梁に使うのは強度的にどうかとかね。
でもそれらは補えるんです。
黒ずんでいても、現しにならない材料なら問題無いし、現しになる材料は材木屋さんが選りすぐってとびきりきれいな材料を出してくれます。
強度的な部分は、越後杉のスパン表も準備されているし、かかる荷重に応じて断面寸法を決めればいい。
部分的にベイマツや集成材を使ってもいいしね。越後杉のラミナを使った集成材もあります。
でも、最大の欠点がありました。当社ではどうしようもないやつ。
それは、他産地の杉材に比べて越後杉の価格が高いこと。
価格が高いということは、それは家を建てるお客様の負担になります。
お客様に『なぜその高い越後杉を使うのか?』と聞かれたときに、
『地産地消がいいので・・・。メリットは・・・特に無いです。』とは言えないですよね。
この欠点を補ってくれていたのが、新潟県のふるさと越後の家づくり事業をいう補助事業です。
越後杉を使って建てた家に補助金を出しますというもの。
確か、中越地震の後から始まったんじゃなかったかと記憶しています。
ちょっとづつ中身が変わっていたとはいえ、ほぼ同じ補助事業がこれだけ長く続くのは珍しいと聞いた事があります。
長らく続いたこの補助事業は去年で終わってしまいました。
理由は・・・調べてください(笑)。
ニュースにもなってたんで、皆さんご存知かと思いますけど。
で、今年から新たな県の補助事業が始まりました。
『新潟県産材の家づくり支援事業』です。
今度は越後杉では無く新潟県産材を使った住宅に対して補助しますよーという内容でした。
『あら、使いやすくなったのね♪』と思ってよくよく見てみると、補助条件に気になる一文が。
【補助条件】
県産材利用量が、前年度の県産材利用実績を上回ること。
・・・これはあれですよね。
去年県産材の使用量が0㎥の会社だったら無条件に補助条件に当てはまるんで、
新規で使う会社さんはどんどん利用してください。
去年も県産材を積極的に使用した会社は、それ以上に使用量を増やさないと補助対象にならないよ。
まあがんばって使用量増やしてね。それで増やせるようなら補助してあげるから。
って事ですよね。
当社は県産材を今まで当たり前のように使ってきて、これからも使用したいと思っているのに、
補助条件に当てはまらなくなってしまいました。
とても寂しい気持ちでいっぱいです。
それと同時に今までいかに恵まれた環境であったかが良く分かりました。
越後杉の使用量が減る
→製材所も乾燥のための窯に入れるのを控える(数が出ないから)
→乾燥材の在庫が無い
→発注してもすぐに使えない
という良くない循環に陥っているようです。
これでいいんでしょうか。