「お正月」をちょこっと考えてみる
暖冬の予報通り、ほとんど雪の無い平成最後の年が明けました。
皆様にはお健やかに、新しい年をお迎えになったことと存じます。
今年も変わらずよろしくお願いいたします。
百代の過客
月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
俳聖と謳われる松尾芭蕉の「おくのほそ道」の序文ですね。
月日というのは、永遠に旅を続ける旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年もまた同じように旅人である。という意味だそうです。
百代=永遠であり、過去・現世・未来と果てなく続く時間を旅人と表現した芭蕉は、旅をこよなく愛した偉大なツーリストでした。
切れ目なく続く時空を12に区切って一年とし、最初の月が正月。
その最初の日が元日です。
1年は365日あっても、一番目の日は貴重であり、祝福される日なのですね。
楽しかったお正月
新潟県の正月は他県の人から見ると、すでに大晦日(歳取りの晩)の御馳走から始まるらしいです。
翌日の元旦は一家そろってのお節料理とお雑煮、大人はお屠蘇がわりのお酒で新年を祝い、子供たちには期待に胸膨らむお年玉授与イベントがあり、その瞬間は一同おおいに盛り上がります。
こんなお正月の光景は昔も今もあまり変わらないのかもしれませんね。
雪に閉じ込められる地方では駒回しも凧揚げもできませんが、皆さまの子ども時代はどのような遊びをされていたでしょうか。
テレビの正月特別番組を見て、40歳以上の方ならファミコンを楽しみ、親戚宅を廻っていただくものをゲット。
買い物や時にはスキーに連れて行ってもらうこともありました。
のどかな子ども時代って本当にいいものですね。
寝正月が一番などという生活はまだまだ先のことなのですから。
正月の行事は、他にどんど焼きや成人の日だった1月15日の小正月があり、1月20日の二十日正月で終わります。
正月の意義
本来正月は、歳神(としがみ)様を家に迎え入れ、五穀豊穣を祈るものであったそうです。
良いことを授けてくれる歳神様は、遠い空の異界からやってくるので、神様が降りる山の松を門松に、家の中には神棚を設けてお神酒や餅を供え、もてなしました。
神聖な神様の場所を注連縄や神飾りで表すなど正月行事は厳粛なもので、決まり事に従って正月の祀りを主宰する家の主人が年男です。
その年の干支の生まれの人の呼び名と言うだけではなかったようですね。
日本の伝統や思考は根底に稲作と深く結びついており、農業と係わりが少ない現代人には、古めかしく理屈に合わない考えやしきたりと感じます。
しかし、そのことの起源を知れば、先人の世界観をより理解できるかもしれませんね。
この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2019年1月号No.142 に収録した内容です。