GomameのTubuyaki Vol.151

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デジャヴと共感覚

 初めて行った場所なのに、その風景を見た記憶があったり、家族知人と会話している時、次に相手が言う言葉や口調が頭に浮かび、その通りだったりしたことがありませんか。
 考えると不思議なことで、自分には予知能力があると、他言はしないまでも、密かに自負するかもしれません。

デジャヴってなに?

 日本語では既視感と言いますが、一度も体験したことがないのに、すでに体験したことのように感じる現象を指し、視覚のほか聴覚や触覚でも起こります。
 英語ではなくフランス語で、綴りは déjà-vu 。
 フランス語というだけで、何となくオシャレ感が漂いますね。
 ついでに言うと「ブ」ではなく「ヴ」にすると、ますます花の都パリ感が出ると思いませんか。
 けっして特別な人が体験するものではなく、ある調査によると70%の人がそのような経験をしたと回答しているそうです。
 年齢15歳~25歳の多感なころ、頭が良い人、旅行好きで多く行っている人に起こりやすいとの特徴があるとされています。

「共感覚」のある人

 共(きょう)感覚とは、つながりのない複数の感覚が、刺激により連続して作動すること。
 何のことかピンときませんが、たとえば文字や数字に色が付いて見えることや、音に色を感じる、味に形があるなどが共感覚とされます。
 カナの「ア」は緑色に、数字の9が橙色に見えたりする色字、音を聞くと色が見える色聴は、この感覚をもっている人です。
 ちなみに、見える色や音は各人によって違い、一定ではないそうです。
 一般に甲高い声を黄色い声と言ったり、野太い声を塩辛声と表現したりするので、誰でも持っている感覚かと思いましたが、それは比喩的な表現であって共感覚ではないそうです。

デジャヴや共感覚はなぜ起こる?

 具体的な事柄が思い出せないのに、あたかもかつて同じ体験をした感覚を持つデジャヴの原因は、人間の記憶は、一続きではなく細分化されて脳にインプットされるため、似た事が起きた時、かつての記憶とエピソードを結び付ける脳の回路がうまく働かず、記憶の一部が一致しただけで、同じことを経験したかのように錯覚してしまうから、なのだそうです。
 デジャヴとは脳の錯覚だったという結論です。
 共感覚は、視覚や嗅覚を処理する感覚がまだ未熟で、複数の感覚が混在する赤ちゃんのころは、誰でもが持っているとする説があるそうです。
 成長に従い共感覚は薄れます。
 ただし、成人になっても100人に一人、あるいは23人に1人の割合で持ち続けるとする研究者もいるそうです。
 共感覚を持つ有名人に宮沢賢治、画家のムンク、スティーヴィー・ワンダー、爆笑問題の田中裕二がいます。
 芸術家や芸能に秀でているのは、やはりどこか違うのかもしれませんね。

この記事は当社瓦版 ほっとぽっと2021年春号No.151 に収録した内容です。

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