豊かさを紐解くChap.1-5 温熱環境を整える③

Chap.1 「心地よく暮らす」ために

豊かさを紐解くChap.1-5 温熱環境を整える③~夏涼しい家に必要なものは~

前回、冬暖かい家には、高い断熱・気密性能が必要という話をしました。
 そして高断熱・高気密な家は冬暖かい家になるのだから、夏も涼しい家にもなるんじゃないかと。
 外気温と室内との温度差を作るには高断熱・高気密は有効です。
 だから、どんどん高断熱・高気密化していけばいくほど温度差を作りやすくなり、温熱環境に優れた家=冬暖かく・夏涼しい家になるだろうと。

でも、夏涼しいために一つ大事な視点が抜け落ちていました。

 それは、太陽にどう対応するかです。

 

住まいにおいて一番熱の出入りが多いところはどこかというと、窓です。冬場は52%、夏場は74%が窓からの熱の出入りだと言われています。

 そんな状況もあって住宅業界では、ここ数年で急にサッシの性能上げましょうという流れが出てきました。
 当社は工務店なので詳しい事は専門家さんの説明に譲りますが、窓に限らず日本の家の断熱性能は外国に比べてかなり低い状態がずーっと続いていたそうで。

要するに日本の家は冬寒い。

 それを解消しましょうって流れができてきた事は素直に良い事ですよね。当社もその流れに乗り遅れないようにと日々勉強しています。

サッシの枠はアルミ→アルミと樹脂の複合→樹脂サッシとなり、サッシのガラスも単板→複層→トリプルとどんどん断熱性能がよくなっていて、普及するにつれて高性能サッシの価格もだんだんと下がっていました(今はコロナ禍で上昇傾向です)。

アルミと樹脂の複合サッシと樹脂サッシ

で、ガラスが複層ガラスになった時に、ガラスの種類を選ぶようになったんですね。
 いわゆる素ガラスか擦りガラスかという見た目じゃなくて、性能的なものです。
 今までは透明ガラスがほとんどでしたが、Low-Eガラスも選べるようになりました。

 Low-Eガラスとは、ガラスの表面に金属膜をコーティングしたもので、金属膜の位置によって断熱タイプ(日射取得型)と遮熱タイプ(日射遮蔽型)があります。

Low-Eガラスは金属膜の位置によって断熱タイプと遮熱タイプがあります

 

で、どっちのガラスにするかという事なんですけど、この遮熱というのが、とても魅力的な言葉でして。
特に雪国長岡の人には。

 基本、長岡では冬期に太陽が出ません!というと言い過ぎですが、あんまり太陽にお目にかかれません。
 基本曇り。降ってくるのは雪か雨。日差しはごく稀にしか降り注いできません。
 たまに太陽が出ると、「ふっ、今年の雪は大したことなかったな」なんて思っていると次の日から雪が降るみたいな(※個人の感想です)
 こんなのばっかりなので、冬場の太陽の事は基本考えないんですね(※個人の感想です)

一方、夏期。
 夏の日差しは強烈です。ジリジリと焼かれる。しかも盆地で蒸し暑いという・・・。
 日差しを避けるために早く日陰に入りたい。

 という感じで夏の日差しの印象が強いので、迷わずガラスの種類は遮熱タイプを選びます。
 この選択は悪くないと思うのですが、問題はこの後。

遮熱選んだんでもう安心。サッシの性能上がってるんで夏の日差しがあたる面にも大きな窓を付けまして。
夏の太陽どんと来い!
サッシの断熱・遮熱性能を過信したんですね。

 太陽からの強力な遠赤外線を遮熱タイプのガラスは反射します。
 反射して反射して反射し続けていくんですが、少しづつとサッシ自体も熱を持ち、今度はサッシ自体から遠赤外線が出てそれが室内に放出されます。
 その遠赤外線は床・壁・天井を熱していき結果、室温が上がってしまいます。

遮熱タイプの日射の様子

サッシが熱くなると、今度はサッシから放熱されるようになります。

高断熱・高気密の家では、室内に熱がこもってしまうと、高い性能が仇となって室内の熱が外に逃げづらくなります。

 いわゆるオーバーヒートという状態です。

 床・壁・天井自体も熱を持っているので、窓を開けて室内の空気を入れ替えてもなかなか室温が下がらない。

 

遮熱という言葉に惑わされて太陽の力を甘く見てしまったんですね。
本当に必要なのは、開口部の遮熱性能ではなく、開口部自体に日射を当てない日射遮蔽でした。

そのための対策はいろいろあります。建物の配置であったり、窓の配置であったり、窓の外に遮蔽物を付けたりなどなど。

サッシよりも外側で日射遮蔽が必要です

が、意外と検討されないんですね。理由はおそらく・・・目に見えないから。そして日当たりが季節によって変わるから考えるのがめんどくさい。
検討しなくても間取りできちゃうからまあいいかと。

 

でも日当たりはこのように可視化できます。

隣地の状況も考慮して日当たりを検討します

建設地とその周りの建物の状況が分かれば、〇月〇日〇時の日当たりの状況が分かります。なので、検討しようと思えばできるんですね。

太陽の日射をうまくコントロールできれば、快適な温熱環境の味方になります。

夏はとにかく日射を家に入れない事で室内の温度上昇を防ぎます。

夏期は日射の遮蔽が必要です。
 

冬はできるだけ日射を取り込む事で暖房の働きをしてくれます。

冬期は日射取得をして暖房の補助をします

まあ長岡だとそんな都合よく太陽出ませんけどね。でもいいんです。こうやって計画しておけば、この窓には夏期の日射が当たらない事が分かってるので、ガラスを遮熱ではなく断熱タイプにできます。そうしておけば、冬期に太陽が出れば日射を取得して暖房の補助をしてくるので。

これを日射取得といいます。

 

という事で、夏涼しい家にするためには、断熱・気密性能の高い家+夏期の日射遮蔽が必要です。

 ついでに、冬暖かい家+暖房費が安い家には、冬期の日射取得もあるといいんです。
 太陽が出ない事には日射の取得もあったもんじゃないので、長岡だと真冬では期待できませんが、秋口とか春先には有効です。

 温熱環境に優れた家は、断熱・気密性能の高さ+夏期の日射遮蔽+冬期の日射取得ができる家という事になります。

注文住宅って、「ある土地」に「住む人の要望」を取り入れた「計画(プラン)を立て」て家を建てます。
 住む人が変わればプランが変わるし、もちろん土地が変わってもプランが変わる。はず。なのですが、そういう事をしっかり考えている会社と、どこの土地でもお構いなしで同じような家建ててる会社に二分されてきている気がします。どっちがいいのかは分かんないですけど、オーゴシ建設は前者でいたいな~と思いました。

 

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